プロマークジャパンのホームへ
プロマークジャパン
imagephoto01 imagephoto02
imagephoto03
サイトマップ home
プロマークジャパンのホームへ
エコツーリズムって何? エコ大陸オーストラリア フレーザー島情報 KingfisherbayResort aboutus

 

 
 
Home>エコ大陸オーストラリアIndex>フレーザー島から考えるエコツーリズム
世界遺産の砂の島・フレーザー島から考えるエコツーリズム
オーストラリアでエコツーリズムを実践している1つのリゾートを例にお話してみたいと思います。
これは1989年5月から私が実際に関わって開発してきたリゾートで、1992年の7月にオープン以来、国内外ともに環境面で行ってきた各種配慮が認められ、各種のエコツーリズム賞などを受賞しているエコリゾートです。

オーストラリアマップ

フレーザー島マップ

世界で一番大きい砂の島フレーザー島にできた環境リゾート
「キングフィッシャーベイリゾート&ビレッジ」

オーストラリアはクィーズランド州にある南北123キロにも及ぶ世界で一番大きな砂の島フレーザー島(1992年にユネスコの世界遺産として認定を受け、島のほとんどが現在は国立公園となっている。)

以前この島は水に大変強いサティネーという木材の伐採地として有名で、ここから大量の木材が本土を経て外国に出荷されていた。古くはスエズ運河の建設やイギリスのドックの改修工事にも使われたほどだ。その島の自然を守るため、政府の調査によって木材の切り出しを中止するとともにこの島を世界の遺産として指定し、未来にわたってもその世界に類のないユニークな生態系を守っていこうという動きがおこったのは1990年のことだった。

丁度そのころ西側の64ヘクタールにわたる自由保有地では私共のプロジェクトがやっと資金のめどがたち、本格的な建設にとりかかる準備が整った時期だった。

オーストラリア人にとって一度は訪れてみたい島フレーザー島は、原住民アボリジニにとってはパラダイスと呼ばれ、年間凡そ30万人の観光客がその自然を堪能するためこの島を訪れていた。

しかしこの島にはリゾートと呼ばれるような宿泊施設はなく、滞在をする客のほとんどがキャンプをするか、あるいは本土側からの一日ツアーでこの島を訪れることのみしかできなかった。いつかは行ってみたい島も、都会からわずかの距離にあっても遠い島だったのだ。

そこへ新しくリゾートが誕生するのだから人々の期待は大きなものがあった。と同時にこれだけ環境が重んじられている場所だけにそこに人間の手が加わることから自然が破壊されないかとそれも注目されるところだった。

自然がそのままの形で保護されないかぎりこの場所でのリゾートの存在はありえない。島に来る客はその自然を楽しみにくるのだから、、。そこに建設されるものも自ずとそれを満たすものでなくてはならなかった。そこで現在ご覧いただける初めてのタイプのリゾート”環境リゾート”が誕生した。1992年7月のことだ。

   

環境に対する様々な取り組み
キングフィッシャーベイリゾート&ビレッジ(フレーザー島)のケース

キングフィッシャーベイリゾート&ビレッジは、フレーザー島の自然に溶け込む形で設計されモダンなリゾートの形をしながらも環境を維持する為のありとあらゆる調査に基づき厳しくチェックされ建設された環境にやさしいリゾートである。

エコツーリズムと言う言葉をあちこちで聞くようになった。
キングフィッシャーベイリゾート&ビレッジはまさにそのエコツーリズムのプロダクトのひとつであり、そこを訪れる観光客に最大限の環境を保護するための努力をしていることを見せること、それはつまり抱えている自然とそこから派生する文化的遺産を充分に理解し、それをそこを訪れる人々に正確に伝えていくことが使命であると理解した。

キングフィッシャーベイリゾート&ビレッジは環境のデリケートな場所における大きな規模での開発における一つのスタンダードを設定するにあたってそのイニシャティブをとっている。それはまさにオーストラリアのエコツーリズムとしてのモデルケースといえるであろう。ちなみにリゾートは1993年のオーストラリアツーリズム賞最良開発プロジェクト賞、エンバラメンタルツーリズム賞など各種の優秀賞を受賞している。

高いレベルでのエコツーリズムのスタンダードを確保するにあたってキングフィッシャーベイリゾート&ビレッジで実施してきたことは、初期の段階での環境にかかわる各種検証と開発による環境への影響についての調査、またそれによる造園計画ならびに電気ガスや廃棄物についての削減化の為に有効な建築設計など、広範囲にわたっているがその中でいくつかのことを下記に具体的にまとめてみよう。

リサーチ

キングフィッシャーベイリゾートの開発にあたっては、環境に与える影響についての調査、それにもとずく計画デザインに専門家凡そ57人が参加している

  • 建設用地の地形ならびにそこにある主な植物の特徴の調査
  • アボリジニ(先住民)の使ったと思われる痕跡のあるもの、同じくヨーロッパ人が入って来た時の痕跡のあるもの等の考古学的調査と確認
  • すべての植物の分布図の作成
  • 動物生態系の調査
  • 水質調査
  • エネルギー源

 
建設計画段階ではソーラーシステムなどの方法も考慮されたがコストならびにスペースの問題からこの計画は実施にいたらず、オープン当初のジェネレーターによる自家発電方式をへて、現在は本土からの改訂ケーブルにより、本土で発電された電力をしようしている。

自然の外観を壊さないことと、必要以上の電線が樹木のなかを通ることによる火災などへ心配を考慮し、電話とすべての電気ケーブルは地下に埋蔵。

建物の設計についてもエネルギーの節減の為に各種のプログラムが導入されている。

  • 152室のホテルルームは鍵の挿入によって電気使用が可能になり退室中は自動的に電気が消える。
  • 消エネ蛍光燈をすべて使用
    これにより15%程エネルギーの節約になっている。
  • 自然風の対流を考えた設計によりメインコンプレックスでのエアコン使用を最小限にしている。夏は窓とロフトにある通気孔をあけ対流をはかり、冬はそれを閉じて温室効果を上げることが出来る。この設計により消エネ量は年間48万キロワット時で、金額にするとおよそ約5万ドルの節約になる。

廃棄物処理管理

廃棄物はリサイクルできるものとに分別される。ガラス類は粉砕、缶類は圧縮され段ボールなども圧縮機でキュウビック上に圧縮されてすべて本土に送られ、それぞれの用途に併せてリサイクルされる。これはフレーザー島でも初の試みである。

又、さらに環境とゴミ投棄場のスペースを考え、独自のゴミ処理システムを導入している。 これにより、キッチンやレストランで出る生ゴミは、一定期間みみずと一緒において処理し、最終的には堆肥土に再生される。これにより生ゴミによる害虫等の発生を防ぐと共に野生動物によって放置されているゴミを荒らされる心配もない。また、再生された堆肥土は現在リゾート内に建てられたハーブ園でリゾート内のレストランで使用されるハーブを育てるのに利用されている。

下水処理

世界遺産に指定された環境を重視するところにあるリゾートだけに、汚水処理に関しては非常に厳しい規制がある。リゾートではバクテリアと活性汚泥を使った汚水処理システムで3段階にわたって汚水を浄化している。最終的に残った汚泥は乾燥させ、堆肥土として再利用される。これは州の環境庁の検査でも合格している。

又、定期的に排水したものによって海洋生物に影響がないか水質検査とともに生態系調査も行なわれている。現在オープンから8年余であるが、周辺への生態系への悪影響は確認されていない。

又、リゾート内で使用される洗剤などには特に注意して科学薬品の入っていないものを使用している。各ルームにあるアメニティーのシャンプーや石鹸も同じように特別に選ばれたものを使用。(自然の素材からできた環境に優しいものを特に選別)

飲料水

フレーザー島には地下水層がふんだんにあり、リゾートの飲料水は自然の砂のフィルターを通して濾過された天然水である。

造園

島の自然の様子を保護するのに造園は非常に大事な部分を占めている。建設中に用地にあった植物は可能な限り小さな鉢に植え変え、リゾート内に特別に作った苗園において育てられ、建設終了後それらを元に戻して造園を完成した。この苗園ではおよそ9万鉢の植物が育てられ、これに加えてクィーンズランド州林野庁の協力によって育てられた6万鉢を併せて使用し、現在のリゾートの外観を形成した。この作業によって島の外から新しい植物を運ぶことによって動植物の態系を壊すことなく、島本来の自然の姿をリゾートの中庭で満喫できる。

又、工事中に使用するトラックなどから、本土からわたってくる土を経て害虫や疫病が発生し、植物に影響を与えることを避けるため、入島するトラックなどのタイヤは慎重にチェックされホースでよく土を落としてから島に運び入れるなど、最大限の配慮をした。

もちろん工事にかかわる人々への環境保護の為の特別ガイダンスを行ない、島にかかわるすべてのスタッフが自然保護の重要性を認識しながら仕事に従事した。この精神は今も新しいスタッフの教育プログラムに組み込まれ実践されている。

環境にかかわる活動と解釈

環境保護の総合プログラムにおいては、リゾートにおいてそれをどう解釈してどう観光客に伝えていくかが最も重要なことである。世界遺産に指定された場所にとってその意味を教育し、実践しさらにそれを享受するトータルアクティビティーが必要である。

そのためにリゾートではこれらをよく理解した専属のアクティビティースタッフ(レンジャー)をおいている。この20名余のレンジャー達は大学もしくは専門課程を卒業後、フレーザー島のあらゆる自然と慣習の歴史を伝達するために特別に訓練を受けたスペシャリスト達である。

リゾートでは、このレンジャーのガイドによって半日または1日の各種エコツアーが実施されており、ここを訪れる子供も大人も自然の様々の様子を自分の目で学びながらその保護の重要性を知らずと認識していく。

又、オーストラリアで初めて、このリゾートのマネージメントのチームの一人にデリケートな環境を保護するために必要な経験と実績を積んだスタッフを環境保護管理専門のディレクターとして開発の初期の段階に雇用した。彼は州政府の環境庁国立公園課にいてエコツーリズムのプランニングからマネージメントに従事し、環境教育プログラムの実践でも大きな実績を持っている。 (現在彼は、クィーズランド州観光公社エコツーリズムディレクターとして活躍している。)

リゾートでは、環境にかかわるすべてのことに、その計画から運営にいたるまでの一連の流れを彼のもとで統括している。

島の動植物ならびに歴史を紹介する独自のガイドブックを作成しており、各国語に翻訳されどこの国からの観光客にもフレーザーの自然を最大限理解していただく配慮をしている。将来的には、
外国語対応のインタプリターがおけることが最大の課題と思っている。

リゾート内を訪れた人々が自分のペースで歩ける2種類の散歩道があり道程にはその自然を説明するガイド看板がおかれ、遊びながら学べる配慮があちこちにある。

その他5〜15才の子供達の為の環境学習プログラム、 ジュニアエコレンジャープログラムを実施している。子供の目で自然に触れながら、楽しい時間を過ごすことによって、子供の頃から環境に対しての配慮や、自然を見る目を自ずと養うことを目指す。大人たちが休暇で楽しんでいる間に、子供達にも楽しく遊ばせながら学習できるプログラムとなっている。

このプログラムは、年齢にあわせて様々なプログラムを担当レンジャーが構成している。
また、今年からプロマークジャパンで企画した日本向けの春休み、夏休み特別プログラムも実施し、子供のみならず親子で環境学習できるプログラムが好評である。特に指導要領で加えられる総合学習の一環として体験学習を組み入れる学校や、団体、企業などのプログラムでも利用されている。 
(プログラムの詳細についてはこちら)

以上の様な配慮のもと、環境保護と観光開発の共存というハードルをクリアし、キングフィッシャーベイリゾートはオーストラリアのエコツーリズムリゾートのモデルケースとして、現在国の内外から注目されている。

なお、フレーザー島はその島の生態系のユニークさから1992年の12月に正式にユネスコから世界の自然遺産として認可された。これによってキングフィッシャーベイリゾート&ビレッジは世界遺産の中にある大変ユニークな宿泊施設として、今後もここを訪れる観光客にフレーザー島の自然の素晴しさを伝えること第一にオペレーションしていく。