休暇村協会の皆さん 2004年6月26日〜6月30日

日本全国に36箇所ある休暇村から、支配人、営業課長の皆さんがフレーザー島にエコツーリズムと環境保全の取り組みについて研修でお越しになりました。 今回おいでいただいたのは、竹野海岸、乗鞍、裏磐梯、支笏湖の休暇村の皆さんです。 
普段はお客様をお迎えする立場の皆様がお客様となって、さてどんな体験をなさったか、、、、、
皆様もぜひご一緒に追体験してみてください。


2004年6月26日(土曜日)

オーストラリアはこれから冬。 日中の気温は22度くらいに上がっているものの風はちょっと冷たい感じですが、
初日のこの日も快晴で気持ちよい青空が広がっていました。
本土側のユランガンボートハーバーではじめてお会いしてご挨拶。簡単な日程をご紹介していよいよリゾートへ。
さっそくカタマランの中で、オージービールで乾杯!!

ご到着後、日溜りのマヒノレストランでご昼食。
そして午後はさっそくエコツーリズムの最初の研修のスタートです。
長旅もあって少しお疲れの様子も、、、、今回の研修のテーマであるエコツーリズムとはなにか? その答えを探すセッションでした。
さらに、 エコリゾートとしての建設や運営のコンセプトなどを聞いていただき、その後は実際にリゾート内も見学していただき環境に対するさまざまな取り組みをご覧いただきました。

カタマランにのってホット一息。
オージービールで乾杯!
ミミズ農園を見学 OA用紙もリサイクルします。

夕食は地元のシーフードをビュッフェスタイルでたくさん召し上がっていただきました。

2004年6月27日(日曜日)

フレーザー島の自然を五感で存分に味わっていただく日です。

4WDを使っての1日ツアーに参加していただきました。世界遺産になったフレーザー島の歴史や、その自然のユニークな姿をご自身で体感していただきました。

お天気も快晴!東側のビーチは多少風が強かったものの、最高のツアー日よりでした。

ツアー以外で参加されるお客様のためにナショナルパークが設置している自然のインタープリテーション。 イーライクリークにて、`義本氏

ちょっと風が強かったけど、、、、。
75マイルビーチにて

左から、斎藤氏、中村氏、レンジャー・ケビン、義本氏、滝澤氏の皆さん。

砂の道を走ることおよそ1時間。東側のビーチに到着。
そこから北上してイーライクリークへ、、、、、。セイクローンの影響で小川の蛇行の方法が反対になっていました。豊富な水が内陸およそ5キロほどから流れ出てきています。ここはまた泣き砂も、、、、ビーチでモーニングティーをとってレンジャーのケビンと記念のスナップ。

カラーサンドのピナクルズで砂の塊にびっくり!  中村氏&義本氏
こちらは難破船、マヒノ

フレーザー島の砂は南極から運ばれてきていると言われています。東側のミネラルをたくさん含んだ砂は赤や黄色の色を放ち、自然の芸術を作り出しています。ピナクルズでは砂の崖を間近でご覧いただきました。

フレーザー島は先住民のアボリジニや、ヨーロッパの開拓の歴史以外にも日本にまつわる歴史が残されています。それがこの難破船マヒノ。日本に鉄くずとして売られていく途中で嵐にあってそのままこの島の東海岸になんと70年近くもとどまっています。そこは自然界に置き去りにされた天然のオブジェ!写真家が必ず撮影するスポットに、、、、。

セントラルステーションのレインフォレスト
おしゃれな点字用のガイド板
自然の木を切り倒さず工夫して作られた
ボードウォーク

砂地にあるレインフォレストとしては世界一高いということでもフレーザー島はユニークで世界遺産登録のポイントとなっています。
この日は、ボードウォーク(木道)の改修工事が終了して一般にはじめて公開された日でもありました。ご参加の皆さんはまさにこの日開通したばかりのボードウォークを歩く最初の日本人となりました。

シリカサンドの白砂とコバルトブルーの湖
マッケンジー湖にて


この日の最後に訪れたのが、マッケンジー湖。フレーザー島に60近くある湖のうち海抜より高いところにあるパーチドレイクというタイプの湖で、砂のくぼみに雨がたまってできた湖です。水は透明でしかも周辺はシリカサンドの白砂。その細かさから研磨剤にも使えます。皆さん身につけているジュエリーや時計をこの砂できれいにしていました。水は18度くらいと冷たいものの足を入れてリフレッシュ!これも自然を体感するのには絶好の機会でした。


2004年6月28日(月曜日)

今日もまたまた快晴です。 早朝にざっと雨が来た様で逆に緑が鮮やかになっていました。 
午前中はドルフィンクルーズに出かけました。
フレーザー島は、島の中もその自然体系がユニークですが周辺の海の海洋生物もまた豊富であることでも有名です。フィッシングのいいスポットにもなっていますし、また8月から10月にはザトウクジラが回遊してくる豊かな海です。
島と本土側とに挟まれたグレイトサンデー海峡には一年を通じてイルカやジュゴンも生息していています。 

寒いデッキから必死に
海原に浮かぶイルカを探す皆さん

 

 

インドパシフィック・ハンパックドルフィンならびにフリッパーでもおなじみのバンドウイルカ(ボトルノーズドルフィン)を見に、カタマランヨットで出かけます。
ガイドは、イルカの生態調査やトレーナーとしても実績のあるピーターです。 その名もブルードルフィンというヨットで静かに海の環境を楽しんでいただきました。日差しはかなり暖かく、風もなく穏やかな海でしたがやはり冬の気温でデッキで足踏みしながら必死にイルカを探しました。

 


動きの早いイルカをデジカメに収めるのはなかなか大変! その中からいくつかご紹介します。

潮を吹く
インドパシフィック・ハンパックドルフィン
子イルカ(およそ生後1ヶ月ほど)の
華麗なジャンプ
 
(ベストショット撮影:斎藤輝氏)
バンドウイルカがボートのすぐ近くに、、、、
でも近すぎて頭が切れてしまいました。

午後は今回のツアーのハイライトのひとつでもあるマングローブの森へのカヌーツアーです。
はじめてカヌーに挑戦ということもあったのでしょうか? なんとスタートからとんだ災難でした。

斎藤・義本・中村組は早速転覆!
名誉挽回、、、
マングローブの林をさっそうという3人

左から斎藤氏、義本氏、筆者、中村氏、ガイドのサイモン、滝澤氏

 

2004年6月29日(火曜日)

こんなにお天気に恵まれていいのかしら?と思うほど毎日本当にいいお天気!
日頃から皆さんの行いがよかったのでしょうか?

今日は、午前中はリゾートのツアーマネージャー・コリンから環境を大事にしながら、お客様に楽しんでいただくためのプログラムの作り方についての話を聞いていただきました。それぞれの環境でどのようにいかせるか皆さん必死に聞いてくださいましたし、話のあとの質疑も大変活発でした。

真剣に講義を聞く皆さん

レンジャー・コリンと一緒に、、、、。

午後になってかなり気温が上がってきて、ちょっと汗ばむような気温でした。 午後のアクティビティーは先住民の知恵を学ぶプログラムです。
ブッシュタッカーという野生の食物を先住民・アボリジニたちは上手に利用しながら生活していました。それは、自然界から食べるものを採り尽くす形ではなく、継続的に採って使うことができるための彼らたちの自然と共生するための知恵がありました。

実際にリゾート内をレンジャー・リアと一緒に歩きながら、彼らが食材としたものを探します。そして口に含んだ味見!
お味の方はいかが???

さらにその後のプログラムでは、これらの自然界から採れるさまざまな食材を現代の料理の中に取り入れるとどんなオーストラリア料理が誕生するか、これまた実際に味わっていただきました。
ここでは、 オーストラリアならではのワニ、カンガルー、エミューといった肉をおいしく召し上がっていただくためにシェフのさまざまな試みに皆さんも参加していただきました。このプログラムではレンジャー・ジェンとシーベルレストランのシェフによる共同プログラムです。
まさにオーストラリアならではの食材のハーモニーです。 土地に行ったらその土地ならではの味を楽しむのも旅の楽しさのひとつです。
オーストラリアの味を極めたら、こんな形になりました。
さまざまな料理への挑戦に皆さんも顔をほころばしたり、ゆがめたり、、、、好奇心いっぱいでした。

ブルーベリーアッシュの実を食べてみました。
カンガルーの肉を召し上がれ!
レンジャー・ジェンと、、、、。

冬にフレーザー島を訪れるお客様にぜひ体験していただきたいのが、サンセットクルーズです。
赤く燃える西の空をゆっくり進むヨットのデッキがシャンパンを片手にご覧いただくと、自然の中のちっぽけな自分を見つけることができます。そしてわけもなく感動するものです。
その時が皆さんの体が自然のありのままの姿を受け止めるための準備が出来上がったときです。そして五感が今までよりもより敏感に働きはじめます。それからが本当の意味での自然を楽しむことができるような気がしています。 そんな体験をあなたもぜひしてみてください。
今回も本当にゆったりとした時間が過ごせました。

シャンペンを片手に話が弾みます。
左から滝澤、斎藤、義本氏
夕日の中の2頭のイルカ
(撮影:斎藤輝氏)
ガイドのピーターと一緒に、、、、。
この日の夕日は格別で雲ひとつない西の大地にすっと沈んでいきました。 日没5時13分(手元の時計で、、、、)

2004年6月30日(水曜日)

最終日の今日ももちろんお天気は快晴。
気温も上がって日中はかなり暖かくなりました。レンジャー・ビルの運転する4WDでウォビー湖へ、、、、、。この湖は小川が堰きとめられてできた湖。 マッケンジー湖とはそのでき方もそして色合いもまったく違います。 水深がおよそ120mともっとも深い湖としても知られています。

湖までの砂の道はかわった植物の宝庫。 この日皆さんの目にとまったのはまっすぐやりのようなものが草の束の中から突き出している不思議な植物。 これはグラスツリーといってアボリジにとっては武器を作ったり、バスケットにしたり、蜜をなめたり、接着剤のかわりに使ったりといろいろに使える有効な植物です。 

グラスツリーのまっすぐ伸びた茎は槍やもりとして利用されました。 砂がだんだん落ち込んで湖へ、、、、。
森の中へも砂が少しずつ入り込んでいずれ飲み込んでしまいます。
ウォビー湖をせき止めた大量の砂は今も動いています。砂丘の真中で皆さんはいったい何と叫んだのでしょうか?

砂丘を後にして、そろそろ帰路へと、、、、。もうずっとここにいたいよ、、、、、と皆さんフレーザー島と別れるのが本当に残念そうでした。

もう帰りたくないよう、、、
義本氏
フレーザー島の後にするカタマランのデッキで、、、、手にしているのは何?

滝澤氏(左)と中村氏(右)
ハービーベイの空港からいよいよご出発
4泊5日の旅はあっという間に過ぎてしまいました、、、、、

皆さん、お疲れ様でした。
普段はお客様をお迎えする立場の休暇村の皆さん。お客様になったご気分はいかがだったでしょうか?
それぞれの休暇村に戻って、フレーザー島で過ごされたこの5日間を思い出していただければと思います。
そして今回の研修が皆様の新しい試みへのきっかけになったらうれしいです。

日本の宿泊施設でも環境への取り組みが盛んになってきました。そして今回の休暇村の皆さんのように宿泊施設がエコツーリズムという形を活用した新しいオペレーションのあり方を考え初めてきています。

旅は人が動くことで環境に与える影響も多いものです。しかし同時にその人の動きが経済活動を導くことによって、その収益が活用されるきちんとした枠組みができれば、その土地の環境に対して積極的に貢献できるツールにもなりうるわけです。

これからは、その土地にあったその土地本来の資源(自然も文化も人も暮らしも、、、、)を有効に活用するための本来の意味でのエコツーリズムのあり方が問われています。
ただ自然の中に入っていってアクティビティーをするだけでなく、資源の保全や活用が経済活動を基盤にきちんと整備されてこそ本当の意味でのエコツーリズムが成立します。 
エコツーリズムが単なる流行語に終わらないためにも、その土地にとって大事なものは何なのかをそれぞれの現場でもう一度考え、それをどうやって守っていくか、はじめの一歩を踏み出すときが来ていると思います。

そして何よりも大事なこと、、、、、それはお客様にそれを理解していただき参加者になってもらうこと、、、、。
そしてお客様が「楽しかった」と満足してお帰りいただくことだと思います。

休暇村が日本のエコツーリズムの発信地となることを願っております。

 

 

なお、休暇村協会のホームページはこちら

上記プログラム詳細についてのお問い合わせならびはプロマークジャパンまで

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