環境ボランティア体験記 イン フレーザー

その2 入江里美さんの場合(写真提供はご本人)2001年1月9日〜2001年1月13日

はじめに

私は何年か前にたまたまTVでフレーザー島のことを知り、その美しさとユニークさ に惹かれて それ以来ずっと訪れたいと思っていました。 そんな時、インターネットでフレーザー島を検索し、たどり着いたのがここのHPで した。 ウミガメのリサーチのボランティアを募集していると知ってすぐに応募して日程を調整してもらいました。 又、ボランティアの前に2泊3日のフレーザー島のパッケージツアーもアレンジしてもらい、 いろいろな国から集まった人たちと、にぎやかにツアー旅行も楽しみました。

その後のSandy Capeでのボランティア生活はゆったりと時間が流れ、 普段デスクに向かって働いている私にとって、外での肉体労働は心地よい疲労感を与えてくれ、又、目の前に広がる美しい自然がこの上なく 私をリフレッシュさせてくれました。

フレーザー島はまさに私が思っていたとおりの美しい島で、又その美しさを 損なわないよう、保護され、そこを訪れる人にもそれを理解してもらおうと 積極的なアプローチがされていることが印象的でした。
ここに私が体験したボランティア生活をみなさんに少しご紹介したいと思います。

1/9(Day 1st)

オーブというNPレンジャーが朝8:00にキングフィッシャーベイリゾートで Pick up してくれるという メモをもらっていた私は、時間より10分ほど前からフロントで彼を待ちました。 待つといっても彼とはぜんぜん面識がなかったし、事前にMailもしていなかったのでどんな人か全く想像できなかったし、ボランティアの内容については簡単にしか聞いていなかったので 一体これからどんな人たちとどんな生活が始まるのだろうと、期待と不安でいっぱいでした。おまけに、こちらに来てから1週間以上たち、多少英語の生活に慣れてきたものの、 私の語学力も不安のひとつでした。

待つこと20分、10分遅れてオーブは現れました。 ふさふさの長いあごひげがとても印象的なオーブのやさしそうな顔に 私の不安は一気に吹き飛んだ気がしました。実際、話し方もやさしくて、話しやすく、 早速、荷物を車に積み込んで、出発しました。 キングフィッシャーベイから島の最北のSandy Capeまでは約100kmなのですが、なにしろこの島はご存知のように砂でできてで、道もすべて砂なのままなので、とにかく車は走りにくいというか、揺れるし、スピードも出せないので移動には思ったより時間がかかります。 前日まで参加していたツアー中も、みんな"bumpy bumpy"と言って、特に、ツアーの大型バスの一番後ろの座席に座っているとまるで遊園地のアトラクションに乗っているかのように、体がポンピングし、エキサイティングな体験もこの島ならではの楽しみかもしれません。

オーブの運転はていねいで慎重だったので同じ道を走っているとは思えないほど快適で、揺れもそれほどではありませんでした。 しかしながら、その日の早朝はKing Tideと呼ばれる2,3ヶ月に一度来る大きな満ち潮があった日で まだ、潮が十分に引いていない関係からその具合をみながらのドライブとなりました。途中、オーブの知り合いの家に寄ってお茶をごちそうになりながら、Sandy Capeの灯台に到着したのは 夕方4時頃でした。

灯台はBeachから車で5分程登った海を見渡せる高台にあり、灯台の他に小さいOfficeとレンジャーの家とボランティア用の宿泊施設等があります。 私が着いた日は、灯台にはもうひとりNPレンジャーとその友達が2人いたのですが、次の日に帰ってしまったのでそれ以降は私ひとりでした。通常ウミガメのリサーチの期間は何人かボランティアやレンジャーが滞在するようですが、私が滞在した期間はたまたま他に誰もいなくて少しさびしい気もしました。 でもその分、島に関してはエキスパートのレンジャーのオーブからいろいろなことを遠慮無く聞いたりする事ができたのはとてもよかったと思います。

部屋はとても広くてベットもたくさんあって何人も宿泊できるし、キッチンも道具が一通りそろっています。 基本的に食事は自分で自炊なのですが、その日の夜はオーブの手作りマンゴーピザを囲んでのにぎやかな夕食となりました。 このマンゴーは、オーブのハービーベイの自宅の庭でとれたもので、私がいままでに食べた事がない美味しいマンゴーでした。 ダンボール箱に大量に積んで持ってきていたので、私はこの後、毎食この甘くて美味しいマンゴーをデザートにすることができ、すっかりマンゴーのとりこになってしまいました。

1/10(Day 2nd)

朝6:00起床。 この時間、今は夏といっても朝晩はやはり涼しく、日が昇るまではトレーナーをはおる程度の気候で空もまだ薄暗い感じがします。
簡単に朝食をすませ、前日の夜にオーブから朝7:00から作業を開始できるようにと言われ、一体何をするんだろうと思いながら、言われたとおり長袖、長ズボン、それに帽子をかぶって時間どおり出て行くと、グローブとスコップを渡されました。
家の周りの雑草抜きでした。雑草といってもちょろちょろ生えている小さい雑草とはわけが違って、大きいものだと背丈が1m近く、根もしっかりはっていて引きぬくのはかなりの肉体労働です。 太陽も昇ってきて一気に気温も上がり、その日差しも日本に比べて確実に強く日焼け止めと帽子は必須アイテムでした。全身から汗が出てきて、喉も乾いてきます。雑草を引き抜く作業は結構力が必要で普段こんな作業もしないこともあって腰も少し痛くなってきました。そんなこんなで私が少し疲れているところにちょうどオーブがやってきて"少し休んでお茶にしよう"といううれしい言葉がかかりました。

時間は朝のまだ9:00頃。普段休みの日だったらたいていまだ私はこの時間ベットにいるのに、今の私は一仕事終えてお茶をしていると思うと不思議な気分でした。 お茶を飲みながら、Mud Cakeと呼ばれているデビルケーキのような甘いチョコレートケーキを食べて雑談していると不思議と元気がみるみるもどってきます。 その日は再び11:00頃まで作業を続けてその後ランチをとってお昼過ぎにビーチにカメの産卵した場所を探しに出かけました。

この時期(12月〜3月)Sandy CapeのビーチにはLogger Head Turtle(アカウミガメ)とGreen Turtle(アオウミガメ)が産卵にやってきます。全体数はその年によって違い、今年は非常に少ないということでした。車でビーチを走りながら、目を凝らしてカメの足跡を探します。
でも私は本当にこういうフィールドワークが初めての経験でましてやカメの生態についても、ここに来る前に寄ったバンダバーグにあるモン・レポス・ナショナルパークでカメの産卵を見学し、少しだけその生態を知っただけだったので、オーブに質問ばかりしていました。オーブは生物の先生のように何でも私の質問に応えてくれて、カメの事に限らず島の事やいろいろな鳥や植物についても教えてくれました。私はいつも英語の電子辞書を携帯してわからない単語はすぐに調べて確認するようにしていたので毎日が英語と生物の課外授業のような感じで、とても楽しかったです。

どれがカメの足跡で、又種類によってその足跡が違ったりするのは、はじめは本当によくわかりません。 最初のうちは、オーブが車を止め、"何か分かる?"といわれてもさっぱりわからず、車を降りて"ほらここ"と指をさされて"あーこれがそうなのかー!"という感じでした。 まるでトラックの極太のタイヤの跡のようで、その軌跡は大きくUの字を描いていたり、Vの字のようだったりします。
足跡を見つけるとまず、その位置(経度、緯度、灯台からの距離)を確認します。足跡から種類を判別し、歩幅を測り、産卵したのか、ただ下見にきたのかを調べます。 そして産卵していた場合、その卵を安全な場所に移しかえるという作業を行います。自然の産卵状態のままにしておくと、産卵場所の砂の温度が十分でなかったり、潮で流されてしまったり、車がその上を通ったり、Dingo(野生の犬)や鳥たちが掘り起こして卵を食べてしまったりと危険が多く、ふ化率が低下するため、それを保護するために行うそうです。

アカウミガメの足跡 歩幅の計測・レンジャーオーブ 卵を掘り起こして、箱に詰めている
レンジャー、オーブ

この日私達が見つけたものは、産卵した形跡があるようだったので、(私にはどうしてそうだとわかるのか分かりませんでしたが)早速シャベルで丁寧に掘り起こしていくと、白いピンポン玉のような卵が出てきました。発泡スチロールの箱に砂を敷き詰めて、その上に丁寧に卵を置いていきます。卵の殻は思ったより固くなく、中には透明の液体が入っているように見えます。この卵は産卵から数日経過し、中でもう変化がおこっているため、よりいっそうの注意が必要でした。

ひとつひとつの卵の向きもそのまま移動させるため、卵にマジックで向きの印をつけ、割れ物を扱うようにそっと巣から出して箱に詰める作業は、卵の数も120くらいあったし、結構大変でした。

それが終わると今度はそれを灯台の近くの安全な場所へ車で運んで、移し変える作業を行います。こちらは囲いがあって、すでに移し変えられた卵もありました。カメがが作った巣と同じ深さに砂を掘り、彼らが産み落としたように卵をもどします。このように保護をしてふ化させても大人になる確立は1000分の1と知り、それが自然界の摂理とはいえ、なんとも複雑な気分になってしまいました。 

*写真下はカメの卵の移し変え作業を手伝う里美さん

1/11(Day 3rd)

今日も朝7:00から草取りです。
"Mother in low tongue"と呼ばれる私が引き抜いた雑草は灯台の周りのあちらこちらに生えていて、抜いても抜いてもきりがなく、途方もない単純作業のように感じるのですが、引き抜いた雑草ををトラックの荷台にのせていくとそれがみるみる山のようになっていって、それを見るとなんだか妙な達成感があり、普段はしない肉体労働の汗とがあいまってとても爽快な気分になります。
空気も新鮮で、空も海も透き通るように真っ青のもと、色とりどりの花や植物、鳥や虫たちに囲まれ、"リフレッシュ"とはまさにこのことをいうのではないかと感じました。

その後、昨日と同様、午後から、ビーチに出てカメの産卵した跡を探しました。
レンジャーの仕事はこのカメのリサーチの他にもいろんな仕事があります。ビーチを車で走りながらパトロールをし、キャンパーたちがきちんとキャンプ料金を支払っているかとか、もしそうでない場合は、料金を徴集したり、きちんとルールを守って滞在しているか等、島の警察的な要素も含んでいるようです。 そのため、頻繁ににキャンプサイトに立ち寄り、キャンパーたちとコミュニケーションをとって、様子を確認し、彼らと島の情報を交換し、島の保護と、キャンパーたちの安全に心を配っている感じが、一緒に同行していて伝わってきました。

3時間ごとに灯台の気象情報を記録するのもレンジャーの仕事です。そのため、その時間ごとに灯台までもどってこないといけないので、カメのリサーチやパトロールも1回にそれほど遠くには行けないのはちょっとめんどくさいところでした。又、この島では潮の満ち引きが車を運転するのに非常に重要なポイントとなっていて、滞在者はTide Sheet(干満の時間が書かれたシート)を持っていてそれに合わせて島内の移動をします。 引き潮で、時速100キロでも走れる一面に広がったビーチも、潮が満ちているときにはあとかたもなく消えてしまいます。この自然の現象にさからって行動し、むりやり潮が満ちてきたビーチを走って動けなくなってしまう車もたまにあるそうです。 ここでも又、私は大自然の偉大さを感じずにはいられませんでした。
*写真上はフレーザー島のビーチ、干潮時。

3:00過ぎにいったんWeatherを取るため、灯台ににもどり、お茶をしたあと、オーブは再びビーチにリサーチ兼パトロールに出かけましたが、私は灯台からビ−チまで歩いて散歩することにしました。
ビーチまで車で5分くらいなので歩くと30分くらいなのですが、なにしろ私は自他ともに認める方向音痴で、独りで歩いていて迷ったら、聞く人もいないしどうしようと心配しまくっていたら、"ほとんど1本道だから迷いようがない"といって笑いながら、オーブが簡単な地図を書いてくれました。
そして"もし6:00になっても戻ってこなかったら探しにいくよ"とも言ってくれたので安心して出かけました。
早速、帽子をかぶり、水とカメラを持って歩き出したのですが、途中からその道が"これってほんとに道なの?"というくらい、枯草があって、木も倒れていて道がふさがった様子に早速心配になってしまいました。なんとか木をよけながら進んでいくと、少し余裕が出てきたのか、周りの景色にも自然と目が行き、見た事もない大きいクモや、セミや鳥の鳴き声、モグラの巣のようなたくさんの穴、アリの巣、めずらしい葉の植物などなど、小さな自然の営みがそこにはあって、まるで子供のようにあちこちで止まってはじっと眺めていました。

ビーチに着くと、もう夕方とはいえ、まだしっかりとした日差しが海に降り注いでいて、美しく青くきらめく宝石のような海が広がっていました。
ビーチは左右見渡すかぎり私だけで、空と太陽と海がすべて自分のもののような気がして、とっても贅沢な気分をしばし満喫しました。まるで時間が止まっているかのような感覚におちいって波の音だけを聞いていると、本当に大自然の素晴らしさを感じる事ができます。

しばらくするとはるか遠くの方から車が1台やってくるのが見えました。オーブの車でした。 "今日のDinnerがあるよ"と言ってオーブが私に見せてくれたのは魚でした。 彼はパトロールしている最中にキャンパーが釣った魚のおすそわけをしてもらったようで、Dartと呼ばれるその魚はタイのような感じの魚でした。
1匹はグリルにそしてもう1匹は私の提案でお刺身にして食べる事にしました。 フレッシュなものは本当にあまり手をかけなくても美味しいもので、シンプルに塩味でグリルにしたのも、お刺身にしたものもとっても美味しかったです。

1/12(Day 4th)

今日もMother in low tongue抜きかーと思って、朝外に出たら、どうも違うようで、グローブ、ゴーグル、ナイフそして除草剤を手渡され、今日は別の種類の雑草を、抜くのではなく,根元でカットしてそこに除草剤を吹きつけるという作業でした。
でもどうしてゴーグルなんかがいるんだろうと思っていたのですが、作業を始めてその意味がわかりました。
その雑草は背丈がとても高く、下手すると私より大きいんじゃないかというようなものもあって、切り進んでいくと顔にも当ってくるので、目を保護するためにゴーグルは必要でした。 作業そのものはいたって単純なのですが、小さい雑草をちょろちょろ抜くより大きい物をばっさばっさと切っていくのでなんだかやりがいがあって、夢中になってやってしまいました。

午後からビーチにリサーチ兼パトロールにでかけました。
初日に卵を見つけてから、足跡は何回か見つけたのですが、産卵した様子のものはそれ以降見つかっていませんでした。
途中、Creekがあるからしばらくそこで泳ぐ?と言われ、Sandy Capeに来てから1度も水に入っていなかった私は二つ返事でOKして、連れていってもらったのですが、そのCreekは私の想像していた清らかな水のCreekではなく、赤茶色の水でした。 オーブは私を置いてしばらくパトロールに行くと言って行ってしまい、残った私は泳ぐにはちょっと…と思ったのですが、でもせっかく連れてきてもらったので少し泳いでみようと思って、泳いだものの、なんだかやっぱり水の色が怖くってすぐに上がってしまいました。水草に藻がたくさんついていて足にさわるとぬるっとしてなんともいえない気持ち悪さだし、よーく目を凝らすとおたまじゃくしや小さい魚がたくさん泳いでいます。オーブが戻ってきて、私の髪の毛がすっかり乾いているのを見て"泳がなかったの?"と言われて "水の色が赤茶っくって怖いから"と言ったら、笑われてしまいました。

3:00にWeatherを取るために一旦灯台までもどり、その後、Waddy Pointに置いてあるに機械とガスタンクを取りに行って、ゴミを捨てに行くというので一緒に同行しました。
島ではゴミを捨てる場所が決められていて、Sandy Capeのゴミはわざわざここまで持ってきて捨てなければいけないそうです。どこの国でもゴミの違法投棄は問題になっているらしく、こんなきれいなビーチにでさえ、ゴミを捨てる人がいるらしく、決して多くはありませんでしたが、私もビーチに落ちているゴミをしばしば目にしました。

Waddy Pointまでは少し距離があり、時間がかかって遅くなってしまったので、帰り道はだいぶ潮が満ちてきてしまって大変でした。ビーチの幅がだんだん狭くなってきて、行きには通れたところが通れなくなってしまって、走りやすいビーチの砂の上ではなく、ごつごつ、でこぼこした真っ黒い岩の上を走るはめになってしまいました。タイヤが岩にハマッてしまったらそれこそ大変で、いくら4WDでも動けなくなってしまうので、慎重に車を進めなくてはなりません。少し進んでは、車をおりて、タイヤが岩と岩の間にはまらないよう確認してはまた少し進むといったことを何回も繰り返しました。
私はこんな経験初めてでだったので不安で不安でしかたなく、無事に帰り着いた時はホントにほっとしました。
あらためて自然の恐ろしさを知った気分でした。

1/13(Day 5th)

今日がSandy Capeで過ごす最後の日です。今日は朝、潮が引いているので足跡が見つけやすいと、朝からリサーチに出かけました。
でも朝の6:00の出発は、さすがにまだ眠い。。。 カメの足跡より、Dingoの足跡の方が目につく。Dingoの足跡をみると、鼻のきく彼らが産みたてのカメの卵を食べちゃったのかなーとも想像をしてしまう。。。

カメの産卵のリサーチは、昼間ももちろん、このように足跡の調査や産卵後の保護もするのだが、本来は夜中にカメが実際に産卵しているところを探してその固体の識別をおこない、測定し、タグをつけたりするのだそうです。Sandy Capeの場合は灯台から左右に少なくとも車2台で別れて夜通し車を走らせ、調査を行うようですが、今回は2人だけだったので1台でビーチ全部をカバーするには限界があるので、これまで夜にビーチに行くことはありませんでした。
私はこのボランティアに参加する前に聞いていた話では、夜のリサーチだと聞いていたので、実際にカメの産卵が見られると思っていたので、少しがっかりしている様子にオーブが気付いたのか"見つからないかもしれないけど今日の夜、探しに行ってみる?"と言ってくれて、その日の夜行くことになりました。

夜10:00。暗闇の中、私達は灯台を出発しました。ビーチは真っ暗でヘッドライト以外の明かりは何ひとつありません。目を凝らして探すものの、小さいカニが私達の車をよけようと目もとまらぬ早さで横切って行くのが見えるだけで、カメらしきものは見つかりませんでした。結局、灯台から左右ともかなり走りましたが、収穫はなく、あきらめるしかありませんでした。でも、もともと今年は数が少ないので見られなくても仕方ないとわかっていたし、モン・レポスでは実際に産卵が見られたし、ここでは他にいろんな体験ができたので私は十分満足していました。帰り道、ビーチから灯台の光が見えました。"灯台もと暗し"とはよくいったものですが、明かりがついた、ここの灯台を夜遠くから見るのはこれが初めてでした。私はこの数日間あそこで過ごしたんだーとしみじみと思いにふけって過ぎた最後の夜でした。

1/13(day 6th)

今日はいよいよフレーザー島を発つ日です。
潮の関係でOrchid Beachからたつ定期便が欠航したため、チャーター便でのフライトとなりました。やはり潮の関係でそのチャーター便も朝6:30の予約。Sandy Capeを5:00に出て、飛行場まで送ってもらいました。飛行場といってもだだっ広い芝生です。小さい飛行機なんだだろうなと思っていたら、思っていたとおりの小ささでしかも約40分遅れでの到着。まるで少し大きいリモコンの飛行機が飛んできたかのようです。
パイロットは飛行歴3年の若いパイロット。早速に荷物を詰み込んだものの、かぎがうまくかからなくて本当に大丈夫なのかなぁという感じ。オーブも何回も乗った事があって大丈夫だよと安心させてくれましたが、 いまいち不安な私。

でも乗客は私だけで本当にチャーターだーとリッチな気分になって不安もどこかにいってしまい、オーブに"絶対また来るね!!"と最後のお別れのあいさつをして機内に乗り込みました。
座席はパイロット横のSeat。といってもあとは後ろに2つしか座席はなかったのだが… 私もパイロットと同様に交信用にヘッドフォンのようなものをつけ、気分も盛りあがって、あとはTake Offを待つのみ。
プロペラがまわり、エンジンがかかっていざ出発。ふわっと体が浮き上がった感じがしたなと思ったらもう飛んでいた。空にふんわり浮いているような感じで、揺れもほとんどなく、天気もよくて島全体が見渡せ、窓からの眺めは最高。パイロットは親切にいろいろ私に説明してくれて、観光飛行って感じでした。
ハービーベイまでの30分のフライトはあっという間で、私のSandy Capeでの旅は幕を閉じました。

おわりに

今回の旅は普通の観光旅行では味わえない、多くのことを経験でき、又念願かなってフレーザー島という美しい自然の中に身をおいて、生活ができたのは私にとって、とても思いで深い旅行となり、いろいろお世話になったオーブ、又私のためにいろいろアレンジしてくださった小林さんに大変感謝しています。

環境保護のために小さい努力を重ねているフレーザー島を知り、又カメの生態にも少し学んだので、帰国してからもいろいろ興味をもって、本を読んだりして、自分の視野が広がっていくのもこのような旅行ならではないかと思います。

今回Sandy Capeには1週間の短い滞在となりましたが、絶対にまた行きたい、そしてもっと長い期間滞在して、島のもっといろんな魅力を発見したいと思いました。 来年はカメが多く産卵にやってくるそうです。今度はSandy Capeで絶対にカメの産卵を見るぞ!と心に決めて日々、仕事に励んでいます。
*写真はレンジャー・オーブと里美さん

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